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<最近の相続税> 〜 土地評価と相続税


1 税理士によって相続税額が異なる!?


1-1 相続税の計算方法




計算する人によって相続税額が異なるということは知っていますか?


相続税は基本的に相続財産の評価額と法定相続人の人数が決まれば自動的に計算されます。相続財産の評価額が決まれば、多くの場合、後は誰が計算しても同じ相続税額が算出されることになります。


で は、相続財産の評価額はどのようにして決まるのでしょうか。相続財産の評価は、相続税法では時価で評価すると定められています。しかし、相続財産の評価は 財産評価基本通達(以下「通達」)において評価の方法が定められています。この「通達」にしたがって計算した値を評価額とします。


この「通達」はかなり細かく財産の評価について規定していますが、あらゆる相続財産について客観的に計算できるものではありません。特に、個別性が強い財産については客観的に計算することは困難です。


(相続税額の具体的な計算方法は国税庁のHP(※1)をご覧下さい。また、詳しい計算方法に興味のある方は、このHPの文献リスト等を参考にして下さい。)


>>(※1)国税庁のHP



1-2 通達評価の限界





世の中の無数にある財産すべてを客観的に評価するのは大変困難なことです。それを「通達」で画一的に評価しようとするので、どうしても制度と実務との間で歪が生じることになります。


例えば、土地には建築基準法をはじめとする様々な規制が設けられています。これらの不動産法令は、個人が土地を自由に利用することを制限するものです。


具 体的には、自分の土地であっても、道路の条件を満たさなければ建物を建ててはいけないとか、ある一定の部分には建物を建ててはいけないなど、規制が張り巡 らされています。実際に土地を有効利用する場合には、これらの規制に抵触しないようにして利用しなければなりません。したがって、規制がある土地について は、規制がない土地よりも有効利用できる可能性が制限されているため、財産価値もそれだけ減少しています。通常の土地取引においては、これらすべての規制 を踏まえた上でそれらを価格に反映して取引しています。また、法令以外にも土地の個性が強くて、画一的に評価できない土地も多く存在します。


それでは、相続税の財産評価ではどうでしょうか。相続税法では、相続財産は時価で評価するとあるので、すべての規制や土地の個性を踏まえた上で評価するべきです。


し かし、「通達」には建築基準法等が土地に影響を与える場合の一部は定められていますが、すべての規制を網羅している訳ではありません。土地を規制する法令 は40近くもあり、また、個別性の強い土地については無限に存在するでしょう。これらを「通達」で定めることは不可能です。


そこ で、「通達」は個別に定めきれない規制や個別性のことも考慮して、「財産の評価にあたっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する」 「財産評価基本通達に評価方法の定めのない財産の価額は、この通達に定める評価方法に準じて評価する」等、ある程度裁量を持たせた内容になっています。財 産についてあらゆることを規定するのは不可能であるため、このような規定になっているものと考えられます。


相続税額を計算するに あたっては、法律で定められた範囲でできるだけ税額を小さく計算ことが必要ですから、財産に影響を与えるすべての要因を洗い出して、「通達」に定めがなく ても、「通達」に準じた方法により適切に評価することが必要です。多くの場合、土地の価格を引き下げる要因を丁寧に探して、それを評価に反映させることが ポイントとなります。


1-3 財産評価実務では





相 続税額を計算するにあたっては、法律で定められた範囲でできるだけ税額を小さく計算ことが必要ですから、財産に影響を与えるすべての要因を洗い出して、 「通達」に定めがなくても、「通達」に準じた方法により適切に評価することが必要です。多くの場合、土地の価格を引き下げる要因を丁寧に探して、それを評 価に反映させることがポイントとなります。


また、「通達」に定めがあるものでも、その規定を適用するべきがどうか判断に迷うこと が多いです。それだけ土地は個別性が強く、画一的には評価できないということです。その場合、当該土地にどの規定を適用して評価するかは、評価をする人の 主観が入ることは必然です。規定があるものであっても、客観的には評価額を算定することは難しい場合が多いです。


このような実務 上の問題を考えると、税理士としては、不動産法規や不動産事情に精通し、正しい評価を目指すように努力することが大切です。正しい評価よりも高く評価する のは簡単なことです。減額できる要因を探さなければすぐに計算できます。しかし、余分な相続税を納めないためには、できるだけ減額要因を探し出してそれを 評価に反映させる。これが相続税を担当する税理士にとって重要なことです。


実際、評価の仕方によって、税額に数千万円の差異が出ることもしばしばです。これは現行の制度の重要な問題だと思います。


このような相続実務の現状で、相続に直面した場合、どのように税理士を選び、対応すれば良いのでしょうか。


2 税理士の選び方


上にも書きましたが、相続税額を計算する上で最も重要なことは土地の評価です。土地は相続財産に占める割り合いが高いことが多いこと、評価方法が複雑化していることが理由として挙げられます。


ど のように土地の評価方法が複雑なのでしょうか。不動産については、利用を制限する法令が建築基準法など40程度あります。これらの法令が土地の価値に与え る影響は大きなものです。 相続税の土地評価制度でも、これらの法令が土地に影響を与えている場合には、相応の減額評価をすることが可能です。


し かし、現実問題として普段税務を中心に業務を行っている者では、不動産関連法規をじっくり勉強するのは困難ではないでしょうか。 例えば、税理士試験に は、相続税法、所得税法、法人税法、所得税法等がありますが、不動産に関する科目は一つもありません。相続税法の試験にも不動産関連法規は出題されないの で通常の税理士では不動産関連法規については学習する機会がないままです。 実務上で知らなければならない不動産関連法規の知識は宅地建物取引主任者試験 くらいだと思います。したがって、しっかり勉強すればそれほど難しくはないと思います。しかし、宅建の知識と税務の知識を融合して考えるには、研究と経験 が必要です。


特に最近は資産税の改正が著しく、昔の知識はほとんど使えない状態なので、経験よりも研究に重点がシフトしていると思われます。


このような意味で、相続税の申告を依頼する場合には、


(1) 不動産関連法規を勉強している。
(2) 宅建レベルの知識を税務評価に活かす研究をしている。
(3) 資産税に関して相当の経験がある。


 以上のことが重要だと思われます。


(注)
不 動産関連法規については、相続税実務には必須ですが、法人税の申告を中心とした会計事務所には必要な知識ではありません。あくまでも相続税についての判断 基準であるため、不動産に関する勉強が不足しているからといって、そのような会計事務所を 否定する趣旨ではないことを申し添えます。


また、現状の財産評価制度の現状からは評価者によって評価額に差異が生じることは止むを得ないことであり、計算者によって評価額がことなることをもって、高く評価した税理士等の業務を否定する趣旨ではありません。


                                                   (つづく)

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